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高齢者の睡眠の質を高めよう

高齢者の睡眠の特徴

① 加齢とともに睡眠時間が短くなる
歳を取るほど睡眠時間は短くなります。年齢ごとの睡眠時間は、25歳が約7時間であるのに対し45歳は約6.5時間、65歳は約6時間と報告されています。高齢者は深い眠りである徐波睡眠の時間も短くなり、夜間の眠りが浅くなることで昼寝が増える傾向があります。

② 寝床にいる時間が長くなる
歳を取ると睡眠時間が短くなるにもかかわらず、寝床で横になっている時間は長くなりがちです。仕事や子育てによる制約が少ない高齢者は、働き盛り世代に比べて時間的な自由があり、睡眠により多くの時間を充てられることが背景にあると考えられています。

③ 夜中に目が覚めることが増える
夜間の眠りが浅くなり物音などに敏感になってしまう、トイレが近くなるなど、夜中に目が覚めることが多くなります。

④ 不眠症など睡眠障害をきたしやすい
高齢者は不眠症をはじめとする睡眠障害をきたしやすいとされています。配偶者との死別や独居による心理的ストレス、うつ病や認知症などの精神疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)による息苦しさ、関節リウマチの痛み、治療薬の副作用など、睡眠障害が引き起こされる要因はさまざまです。

生活習慣を見直し、より良い睡眠を

① 眠くないのに寝床に入らない
長い時間寝床に入る生活を送っていると、寝つくまでの時間が長くなります。夜間に目が覚める回数が増え、再び寝入るまでの時間も長くなります。
ふだん寝る時刻の2~3時間前の時間帯は、最も覚醒水準が高い、入眠に適さない時間帯とされています5)。寝床に入るのは眠くなってから、あるいは寝る直前にしましょう。

② 自分に合った睡眠スケジュールを
高齢者は睡眠時間が短くなりがちですが、どれだけ睡眠が必要かは人それぞれです。よく言われる「8時間睡眠」が、誰しもにとって適正な睡眠時間とは限りません。仮に6時間以下であったとしても、日中の生活にまったく支障がなければ睡眠は足りていると判断できるのです。
自分に適した睡眠時間に基づいて寝起きする時刻を調整してみましょう。必要以上に長く寝床で過ごすことがなくなれば、睡眠の質の向上が期待できます。

③ 日光を浴び、適度な運動を定期的に
ADL(日常生活自立度)が十分に保たれ、大きな持病もない日本人高齢者を対象とした研究で、1日30分以上の歩行を行っている人や週5日以上の習慣的な運動をしている人では、入眠障害や中途覚醒を訴える割合が低かったことが示されています。
無理のない範囲で行う運動による適度な疲労感は、心身はもちろんのこと、睡眠に対しても良い影響が期待できます。

加齢にともなって睡眠時間や睡眠の質は変化してきます。
高齢になれば、働き盛りの時と比べて生活習慣や環境も大きく変わります。
歳を取って眠りの質が悪くなったと感じている方は、高齢者の睡眠の特徴を知り、それに合わせて生活習慣を見直すことが快適な睡眠を取り戻す第一歩となります。